信楽焼の製作工程
成型
日本一大きい湖、琵琶湖の湖底より土を採取します。耐火性にも優れており、温かみのある色でありとあらゆる商品を成形します
模様付け
自由度が高く、器を削ったり、印をつけるだけでなく、木の葉などを用いて、自然と調和したデザインも特徴のまた一つです。
本焼き
都心部では電気窯しか使用できない反面、郊外にある土地柄を生かし、「登り窯」を用いて焼成していきます。その窯の佇まいは圧巻で、焼成の際は、寝ずの番で窯を見守ります。
YouTubeで信楽焼の製作工程をご覧いただけます!
信楽焼の特徴
タヌキは日本人にとって馴染みがり、縁起の良い動物として知られています。
信楽焼では、代名詞と言える程タヌキの置物が有名で、商売繁盛や金運向上の意味合いを持つため、家の前に大きなタヌキの置物を置く人たちが多くいます。日本語の語呂合わせで、「他を抜く」という意味合いがタヌキにはあるため、商売人にとっては欠かせないアイテムとなっております。
信楽焼はタヌキの置物以外にも多種多様なものがあります。その中でも、信楽焼の1番ともいえる特徴は、粗く可塑性の高い土を高火度で焼き上げる事によって生まれる形状の多様性です。また、窯の中で焼き上げる際に、もともと白色であった信楽焼に赤茶色やピンク色が発色し、趣のある色合いに変化するのも大きな特徴と言えます。
信楽焼の起源は瓦!?
信楽、瀬戸、越前、備前、常滑、丹波にある6カ所の窯は「日本六古窯」と呼ばれ、狩猟・採集の時代から存在しています。そんな日本古来からの技術を継承している信楽焼は、奈良時代(729〜749年)に創り出されたと言われています。
奈良時代の聖武天皇が、現在の滋賀県甲賀市信楽町を「紫香楽宮(しがらきのみや)」として築きました。その都の建物に使用された「瓦」を作り始めたのが信楽焼の起源とされています。
室町時代には「茶陶」、江戸時代には「土鍋」、明治時代には「火鉢」と時代ごとに様々な商品を開発し、昭和30年代前半まで、信楽焼の主要製品が日本国内の80%を占めるシェア率を誇っていました。昭和51年には、経済産業大臣より指定を受け伝統的工芸品になっています。
現在の信楽焼
近年の信楽焼は、生活に欠かせない日用品の販売だけでなく、斬新なアイデアでデザインされた陶磁器や信楽焼独自の強みを生かした事業に取り掛かっています。全国各地から最も注目を集めたのは2019年の朝の連続ドラマです。滋賀県甲賀市が舞台となり、信楽焼を作る1960年頃の女性陶芸家の生涯を描いた物語が放送されました。
信楽地域だけでなく、信楽焼自体にも大きな注目が集まり、街を通して盛り上がりを見せました。 また、甲賀市にあるコーヒーチェーン店では、職人と共に意見交換して制作された「信楽焼のマグカップでコーヒーが飲めるサービス」を実施しています。
マグカップはコーヒーの風味を際立たせるデザインと構造に仕上がっており、より美味しく特別感あるコーヒーを楽しむ事ができるサービスは老若男女、幅広い世代から大変人気となっています。
1000年前から続いている伝統を今も守り続ける職人の手技は、今日も色あせることなく信楽焼の制作を続けています。手に取って使用してみれば、あなたもきっと信楽焼の魅力に気づくはず。