京表具の製作工程
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裂地の取り合わせ
表具に用いられる、本紙、和紙、糊など、
作品の雰囲気に応じて適材適所の素材を選択する工程です。
肌裏打ち
複数枚によって構成される表具の本紙の裏面にあたる肌裏。
その部分に加工をしていくため、
非常に繊細で集中力を要する作業となります。
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増裏打ち
打刷毛という道具を用いて、
極めて薄い紙を張り付けていきます。
丁寧に張り付けていくことで
表具の強度が増す大事な工程となります。
YouTubeで京表具アートパネルの製作工程をご覧いただけます!
見て楽しむ伝統工芸「京表具」
京表具とは京都府内で作られる表具のことを指し、主に絵画や書の鑑賞を目的として使われます。それらを細かく切った和紙で補強をした後、装飾を手がけたものを総して表具と言います。京表具は、一般的に知られる掛軸の他に、屏風、額装(がくそう)襖、巻物、衝立(ついたて)に分類されます。
掛軸や額装は主に、和室のインテリアとして好まれ、屏風や、襖、衝立は部屋の仕切りとして使用されてきました。そんな多様性に優れた京表具の最大の特徴は、京都の歴史と共に発展したエレガントな風貌です。
京都には、多くの茶道の家元や寺社などが存在し、それらに関わる人々からの表具の需要は高く、京表具を作る上での材料を確保できる潤沢な土地となっていました。
また、京都には数多くの文化人が存在することから、彼らの趣味趣向と共に京表具の趣のある風貌が洗礼されていきました。
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京表具の歴史
京表具の起源は平安時代まで遡り、当初は中国による仏教の伝来をきっかけに京表具の認知度は広がっていきました。また、掛け軸が普及した理由として、仏教が伝来されてから仏画像への礼拝が習慣化したことが挙げられます。
その後、表具のデザイン性は宗教、政治、文化の中心地である京都と共に変化を遂げていきます。床の間が一般化し、絵画の鑑賞が嗜まれるようになってからは、書画の美しさに拍車をかけるような表装が仕立てられました。
その後、茶道ブームが室町時代〜江戸時代にかけて起きてからは、茶室の趣のある雰囲気を崩さぬように、上質で品のある表具が誕生していきました。このように洗礼されたデザイン性を持つ京表具は後も高級な表具として扱われ、1997年には伝統工芸品に認定されました。
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ロンドンでも認知される表具の芸術性
昨今、日本画を表具と共に目にした人はあまり多くないと思います。近年では集合住宅や洋風なデザインの家を好む人が増え、床の間を見かける機会が少なくなっていることが原因の一つです。そのため、掛軸等の表具はインテリアとして敬遠されがちなものとなっています。
しかし、ロンドンのローカルな美術館の中には、キャンバスの上に描かれた洋画が表具と一緒に壁に掛けられていました。美術館のスタッフに海外での表具の認知度について聞いたところ、絵画をフレームに入れて絵を鑑賞するより、表具を用いたものに新鮮味を感じるらしく、年々人気が高まっているようです。
また、表具込みで芸術品として楽しむことができ、落ち着きのある色合いからメディテーションの一環として活用する人もいるそうで、現在では日本国内のみならず海外からの注目も集めています。
京都で受け継がれてきた伝統文化をお部屋に飾ってみませんか。工夫次第では表具をインテリアとして活用できると思います。オンラインサイトにて、京表具のアートパネルをご用意しておりますので、皆様にも是非、表具の趣を感じていただきたいと思っております。
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