SDGs目標14 「海の豊かさを守ろう」

SDGs目標14
「海の豊かさを守ろう」

日本の伝統工芸品は目標14に上げられる海洋環境の向上、海洋生物の資源保護、持続的利用の促進に貢献することができます。私たちの生活は漁業による海産物確保によって食生活が豊かになり、それらは海の資源によって担保されています。しかし、近年では産業活動による排水や海洋に捨てられるゴミが原因で水質汚染が加速し、海洋生物の生態系に悪影響を及ぼし、海の資源は枯渇状態にあります。

このままでは海洋汚染は進行し続け、この先も持続的に海洋資源を利用し続けるためには、海洋生物の生態系の保全を怠らず、人間の活動による海の汚染防止が求められます。

これらの問題を解決すべく、有限会社フクオカ機業様は「西陣織」を用いて、以下の活動により、海洋資源の確保、海洋生物の生態系保全に努めています。

工芸品×SDGs
 西陣織を用いた水質改善・海洋生物の保全

有限会社フクオカ機業様は明治35年、京都西陣で創業をした西陣織の織元です。

西陣織の技術を用いて織物以外に鞄の製作など様々な領域に活躍の場を広げるフクオカ機業様ですが、近年では西陣織の耐久性を活かして海、川の浄化を行なっています。きっかけは阪神淡路大震災が起こった際に、カーボンファイバーを使って建物の補修工事をしているのを目にし、このような分野で西陣織の技術を活用できないかと考えたことです。試行錯誤を重ね、2003年にカーボンファイバーの織物を完成させましたが、その頃には補修工事としての需要は少なかったそうです。

しかし、この新素材の西陣織を違う取り組みに使おうと、群馬県で湖の水質浄化プロジェクトに参加しました。

その地域ではワカサギがよく取れており、ワカサギで地元産業が成り立っていましたが、ある時期を境に湖の水質汚染が加速し、湖に生息する生き物に影響を与えていました。結果としてワカサギを取ることが困難となり、当初はカーボンファイバーを用い、水の浄化に努め、再度ワカサギを取れるようになりました。

地元産業は復活したように思えましたが、海や川の清掃にカーボンファイバーを使用すると、水流が湖よりも強いため、切れてしまいます。このことを知った現代表取締役社長の福岡さんは自身の織物に、よりきめ細かな繊維を用い、表面に起毛処理を施すことによって一度に多くの微生物を付着させ、水質浄化に努めました。

また、西陣織の技術によって、従来のカーボンファイバーより耐久性が増し、どんなに強い水の流れでも織物が切れないため、この水質浄化用カーボン西陣織を活用し、全国の川や海の浄化に取り組み、水質改善や海洋生物の保全に貢献しています。